ある難しい質問。

03 20, 2012 | Knuckle 『ある難しい質問』

4

PATROLMAN(1800×915mm)*過去作品です。

船場様で一年以上も展示していただきましたナックルのポリス。
先日引き上げさせていただきました。

*長い間、このような大きな作品を展示していただきまして誠にありがとうございました。




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本題


「若いやつは物事をまず、なんでも簡単にして捉えようとする。」

学生時分に村岡三郎さん、という現代彫刻家の講演を聞いたときに彼が言った言葉です。
彼は難しいことは難しいまま考えろ!と、怒るような雰囲気でおっしゃっていました。

しかし、当時頭を使っているように見えなかった我々学生に対して、頭を使え!というその意気込みは強く伝わって来るメッセージではあるものの、やはりこれは暴論だと、その時の私は感じましたし、今もそう考えています。


そうですね、
一見難しく見えても、簡単に出来ることは簡単にする。単純に考えて良い事柄は、なるべく単純にする。

当たり前に必要なことです。

この点が抜け落ちると世の中ほとんどのものが理解しづらいものとなってしまいますし、単に生きていこうとするだけで、しんどいことがどんどん積み重なって、自分では解決出来ない事柄だらけになっていくことでしょう。

そんな状況で頭がかろうじてついて行ったとしても、心は果たしてついて行けるでしょうか。

やはり出来得るならば、
難しいことをバラして、簡単に置き換えていくことこそが物事を理解するということだと考えます。




しかしながら、多くの事柄がそう易々と簡単にさせてもらえないのも事実。
やっぱり、難しいことは難しいまま考える必要に迫られることも多々あります。



さて、

「この作品を説明してください」という質問を受けることがあります。

これは難しい質問です。


実は絵画、彫刻など全ての芸術作品は、好きか嫌いか普通かで判断して良いものだったりします。

逆に、『説明』をしてしまうと絵は作者にとっても鑑賞者にとっても(特に鑑賞者にとって)、難しいものになってしまうことが多いのです。


「そうですか、そのようになっているのですか、だからこうなんですね」

と、納得いただいたとしても、作者の意図と鑑賞者の見え方は必ずしも一致するとは限りませんし、説明したことばかりに気を捕られると、たとえ作品の中で輝きを放っている部分があっても、作者自信の説明が及ばないか曖昧な場合など、本当に大事な場面が無視されかねません。

横尾忠則さんは
「頭の中から言葉を排除しなければ、僕は絵が描けない。言葉が絵を描かせようとするからだ、それほど絵の制作には言葉が邪魔になる。だけど、そうして出来た絵に鑑賞者は再び言葉を持ち込もうとする。」
とおっしゃいました。

作品に完全な意味を求めることは「赤はなぜ赤いのか」の答えを求めることと同じです。



*と、ここまではなるべく分かりやすく書いたつもりですが、以下、少し難しくなってしまうかもしれません。



ただ私の場合、横尾さんと必ずしも考えが一致するわけではありません。
逆に、言葉を完全に排除することは出来ないと考えています。


私は制作前に思いついた言葉、制作中に浮かんでくる言葉を、画面の中に塗り込めていくように、絵具で見えなくして画面の肥料にしてしまおうと考えながら描いています。


ですから、

『説明する』ことは、言葉を絵の具の中から掘りかえしてしまうことになり、表面に施された作業や微妙なバランスの匠を崩しさり、作品というお花畑を花もろとも耕してしまうこと。

になります。


結局、同じことを言っている様ですが・・・。


作品の中にはどんな言葉が埋まっているのか、これは更なる想像の賜物です。
作品を二倍楽しむならまず、頭で理解しようとしないで、ハートで感じて、その後も無駄な説明を聞かず、自分の感じた想いをもっと自由に拡大すること!!


答えになりますでしょうか。


これってなんだか、『バイクに乗るとなぜ楽しいのですか』という質問の答えと同じような気がします。





*春分、これから芸術を志し、新しい一歩を踏み出そうとしている君達へ贈ります。

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注:作者が自ら説明する場合は耳を傾けて下さい。この場合は、『説明』が更なる想像を生み出していくはずです。もしくは単なる作者の言い訳・・

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藤岡秀夫

Author:藤岡秀夫
1999年に京都市立芸大・大学院・日本画を修了。
美術教師兼、オートバイを描く日本画家。
Vintage Harley-Davidson、Classic-Motorcycleなど描きます。

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